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経済政策の勉強会
2017/07/21
東京大学大学院客員教授の松田学さん(元大蔵官僚、前衆議院議員)の講演をお聞きし、経済政策について学びました。非常に専門的な内容を含む、示唆に富んだ内容でした。
正直、現時点での自分の実力不足を痛感しましたが、とてもわかりやすく解説していただき、理解が深まりました。
課題先進国である日本は、教科書的な正解のない時代に突入し、難しい舵取りを迫られています。
現職の政治家のなかでも、経済政策に明るい人は極めて少ないと聞きます。すべてを学者並みに極めることは不可能ですが、政治を志すものとして経済政策の要点を体系立てて理解しておくことは必須。もっともっと理解を深めてまいります。
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下記、講演を聞いての自分の気づき。備忘録として。
・課題先進国としての日本には、新しい時代を切り開くためのストーリーが必要。
・国際金融のトリレンマ・・・①自由な資本移動、②為替相場の安定(固定相場制)、③独立した金融政策
・世界の政治的トリレンマ・・・①グローバリゼーション、②国家主権(自立)、③民主主義(健全な中間層の基盤)
・中間層の反逆による政治的力学の変化に注目すべき。
・日本の経済政策における設計思想を決めるためにも、わかりやすい体系化が必要。
・多様で豊かな地域社会を創るための経済システムの在り方を考える必要がある。
・成熟した知識社会とストック経済にふさわしいソリューションとは。
・財政収支の改善シナリオ。現行のプライマリーバランス黒字化シナリオは2020年までのシミュレーションですでに達成不可能に近い。さらに2025年以降はもっと厳しい。財政再建の出口戦略は極めて難しい。
・アベノミクスの評価。当初目標値との大きな乖離。金融政策と財政出動の功罪。
・「政府+日銀=統合政府バランスシート」の考え方は、果たして有効か。信用不安リスクが高まらないか。
・財政破綻の可能性は?あるとすると、どのようなパターンかのシミュレーション。
・マネタリーベースを増やしても、マネーストックが増えない。では、マネーストックを増やすためにどうするか。実体経済をどのように浮揚させるかは、金融政策だけでは効果は限定的。
・心理で動くマーケットの現実。
・そもそも金融政策は、インフレを抑制することを目的として効果を上げてきたもので、マネージされたインフレを誘導できるのか。
・客観的な事実が重視されない時代と雰囲気。有権者や生活者がそれを受け止めるリテラシーが低い。政治家もわかりやすく本質的な論点を整理して提示する説明能力が低い。
・そもそも資本主義は限界にきているのか。規模の成長しない定常型経済はそもそも成り立つのか。仮に成り立つとしたら、その移行は可能なのか。
・未来への明るいストーリーが全く見えないことが一番の問題。社会システムの再設計が求められている。
・地域コミュニティであらゆる資源を活かして2025年以降の社会保障を支えなければ、現行の社会システム自体がもたない。