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トランプ大統領就任に際して思うこと
2017/01/25
最近、「世界は転換期にある」という言葉をよく目にするようになった。ここ数年、私も強くそう感じている。
思うに、経済においては「資本主義」、統治においては「民主主義」が、現代文明の発展の原動力であるわけだが、これらが「転換期」を加速させる可能性もある。
自分の主義を徹底的に実現しようとすると独裁だと言われ、耳障りのいい世論迎合型の政策ばかり打ち出すとポピュリズムだと言われる。
他国に目を向ければ、貧困層の人口比率が多かったり、識字率が7割を切っていたりする国では、政策決定においてそのあたりのバランス感覚がとても難しい。
民主主義はもちろん万能ではない。
ヨーロッパでは、イギリスは国民投票でEU離脱へ向かいキャメロン首相が辞任、イタリアでは憲法改正の是非が否決されてレンツィ首相が辞任。2017年、EUではオランダ総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ連邦議会選挙がある。
そしてアメリカでは、大勢の予想に反してトランプ氏が大統領選に勝利し、1/20に正式に大統領に就任した。米国第一主義の及ぼす影響に注目が集まっている。
民主主義によって導き出された投票結果を考えるとき、その国における「社会心理」に目を向けずにはいられない。確かに、産業革命以後の「外向きの好戦的なエネルギー」で世界を牽引した英国&米国の社会心理は、明らかに「内向き」になり、世界のパワーバランスは急激に変化している。まさに、世界情勢は「転換期」である。
さて、日本はどうか。
2005年、古い自民党を破壊するというメッセージで小泉さんが大勝。
2009年、自民党の堕落で民主党が圧勝し政権交代。
2011年、民主党の体たらくと自民党のふがいなさで、大阪府知事&市長ダブル選挙では維新の会が圧勝。
2012年、自民党が大勝して与党へ返り咲き、復活した安倍首相の長期政権が始まる。この時、日本維新の会は国政へ進出した。
しかし、自民党が与党復帰して以降、国政選挙も地方選挙も、投票率は低いままであるという悲しい現実がある。
・2012年、自民党返り咲きの衆院選、59.3%。
・2013年、参院選、52.6%。
・2014年、アベノミクス解散の衆院選、52.7%。
・2016年、参院選、54.7%。
安倍政権がもたらしたある種の「安定感」が、転換期にある日本の本質的課題を見えにくくしているのかもしれない。
さて、はたして日本の有権者は、それぞれの政党の主義主張や政策、はたまた支持母体や国家観を理解した上で、投票活動をするものなのだろうか。
今後、日本が経済的にも政治的にも発展を望むなら、有権者である国民が、まさに「啓発された国民」になるしかないのではないか。そして政治家は、啓発された国民と”適切”に対話し、官僚の能力を最大限に活用し、国を導くための「言語能力」が必要である。
また、大手メディアは流行やファッション感覚に捕われた報道や感情論に終始する体制批判だけでは存在価値はない。3.11後、大手メディアの報道姿勢の問題点が更に露呈する一方、自由度が高く誰でも発信が可能でリアルタイム性の高いネットメディアの注目度がますますアップした。しかし、いずれにしても情報は受け取る側のリテラシー次第という事は変わらない。ITインフラの飛躍的向上によって、国民がアクセスできる情報量は飛躍的に伸びた。それゆえ、さまざまなツールを駆使し世界中から情報を取捨選択できるITリテラシーを身につけた「啓発された国民」が増える土壌が広がり、投票行動にもプラスに影響する可能性は十分にある。
2012年以降、復活した安倍首相の政権運営は老練な安定感があるが、国民に蔓延している「将来に対する漠然とした不安」は全く変わっていないし、より深刻さを増している。
日本は、超高齢社会が到来し、人口減少の時代に突入した。社会保障費は年々増加し、若い世代は年金がもらえるかどうか分からない不安。地方はますます活力をなくし、あるデータでは2040年までに全国1800市町村の半数が消滅するとも言われている。
2012年から始まったアベノミクスの特徴は、緩和的な金融政策、積極的な財政出動、そして明らかな構造改革への消極性である。確かに民主党時代よりは株価が上がるなど見た目には良くはなったが、実体経済の成長とは別である。国の借金はますます増え、経済成長も目標値を何度も下方修正している。国民の実感として、経済が上向く気配は感じられない。特に中小企業は、景気が上向く実感を全く持てずにいる。
今、世界情勢も国内情勢も「転換期」なのです。
バブル崩壊後、失われた20年を経て、私たちが生きるこの21世紀は、未来に不安を感じる社会心理が日本を覆ってしまっているのかもしれません。
そんな今こそ、30年先、50年先を見据えた、政治と経済を考えなければならない時ではないでしょうか。
この時代の転換期を乗り越えて新しい時代を切り開くためには、「将来への漠然とした不安の覆う社会心理」から、「将来への希望に満ちた若々しく前向きな社会心理」へと変わっていかなければならない。そして、まさに政治家や経営者は、それを牽引していくことが社会的使命であると思う。
わたしは30代の現役世代として、一児の父でもある子育て世代として、地域に根ざしたベンチャー企業経営者として、そして一人の国民として、日本の未来に強い危機感を抱かずにはいられない。
前向きな国民心理を盛り上げ、多くの国民が政治に目を向け、豊かな日本を再興していこうとする国民運動を起こしていかなければならないと強く思う。いや、思うだけでなく、自らが率先して動く。
日本維新の会 衆議院大阪府第12選挙区 支部長
藤田文武(ふじたふみたけ)