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憲法改正の国民投票の公正性をいかに守るか〜大阪都構想の住民投票218億円デマの検証から〜

2020/11/26

衆議院議員の藤田文武です。

本日は予算委員会に登壇させていただき、菅総理に憲法改正についての見解をお聞きしました。

 

憲法改正は、私自身も政治家としての最重要課題の一つです。

これまで憲法審査会がなかなか開催されず、開かれたとしても短時間で終わり、深まらない議論。憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正議論も進んでいない状況です。明日は、憲法審査会が開かれる予定でありますが、前向きな議論が行われることを期待したいと思います。

 

さて、今回は特に大阪都構想の住民投票中におこった「コスト218億円増デマ」の事例を挙げて、今後行われるであろう憲法改正の国民投票における公正性をいかに担保するかについて質疑しました。

 

11月1日、大阪都構想の住民投票が僅差で2度目の否決となったことは、その民意を重く受け止めなければなりません。
しかし、憲法改正の国民投票が公平かつ適切に実施されるためにも、大阪での住民投票で起こったことについてはよく検証すべきであると私は思います。

 

まずは、事実を整理したいと思います。

◼︎住民投票の最終盤である10月26日、毎日新聞夕刊一面トップにて「市分割コスト218億円増、大阪市財政局が試算、都構想巡り」との恣意的な報道。
◼︎翌日、NHKをはじめ、大手メディアの数社が後追い報道。「特別区への移行でコストが218億円増える」とミスリードが広がる。
◼︎事態を受けて、大阪市財政局が緊急記者会見を開き、「誤った考えに基づいて計算されたもので都構想とは無関係であること」として謝罪及び完全否定。公式見解はこちら。
◼︎毎日新聞を除く各社が訂正報道。

 

この「218億円」という数字は、以下の3つの点から明らかに大阪都構想と無関係であり、恣意的な印象操作といえる相当筋の悪いものです。

① 大阪市財政局が算出したこの218億という数字は、大阪市を4つの政令市に分けた場合の基準財政需要額であるが、個々の特別区の需要額の算定式はそもそも存在せず、府と特別区の需要額を合算して初めて意味を持つものであり、そういった当たり前の前提を踏み外していること。
② 基準財政需要額を計算する際に使われる幾多の補正係数のうち、需要額が上振れする補正係数のみを計算し、その他の補正係数を無視していること。これは地方交付税法上も認められるものではないこと。
③ そもそも基準財政需要額はあくまで理論値であって、予算や決算を反映する実際のコストの実態ではない。大阪府市は、特別区設置に伴い発生するコストを、実態に即して積算のうえ示しており、これに基づき特別区設置協定書も作成され、法定協議会、府市両議会で可決後、総務省の承認を受けていること。

以上の3点は、総務委員会にて日本維新の会足立康史衆議院議員が、地方交付税法を所管する総務省の正式見解として確認しています。

つまり、基準財政需要額の基礎の基礎を理解していれば、218億円コスト増は筋の悪いデマだとわかるもので、デマ拡散した議員たちは、勉強不足か確信犯かのどちらかです。どちらにしても悪質です。

 

さらに私が問題だと思うのは、以下のような、このフェイクニュースの経緯と背景です。

 

・毎日新聞は記事の草稿を財政局に渡して事前チェックさせていたことが判明

・そしてあろうことか、大阪市財政局は毎日新聞社とのやりとりに関わる公文書を、わざわざ休日出勤して証拠隠蔽のために破棄。住民投票にマイナスの影響が出ることをおそらく認識した上で、「共作と受け止められてしまうのではないかと感じた」として破棄したと大阪市議会で答弁。

・報道の3日前、共産党市議がテレビ討論会で218億円コストが増えるとの発言。算出根拠を問われると、財政に詳しい方が計算したと発言。また別の前参議院議員は共産党の政策委員会で作成と発言。しかし、大阪市財政局が事前に共産党に渡していたことも市議会で明らかになった。

 

そして何より看過できないのは、各社の訂正報道後も、公党の国会議員が街頭やSNSでデマを拡散しつづけたという事実。政府の一員である大阪選出の自民党所属の政務官や副大臣も含まれること。しかも、今現時点でも訂正も謝罪もなし。

 

極め付けは、大阪自民は街宣車で「政権政党自民党です。大阪市財政局は大阪市を4つの特別区に分割した場合、現在よりも218億円行政コストが増加する試算結果を明らかにしました。〜中略〜都構想に反対を!」と女性の声のテープで流し続けたのです。

明らかにウソ、デマの喧伝です。この動画はSNS上にも拡散されて残っています。証拠動画はこちら ↓

 

念のため、自民党の名誉のためにいうと、大阪選出の国会議員の中でも筋の悪いデマ拡散に手を貸さなかった方もいらっしゃるし、このようなデマ拡散は投票の公正性を揺るがすものだと問題視した代議士もいらっしゃいました。

 

大手報道のフェイクニュース、公務員の公文書破棄、公党の議員のデマ拡散。
仮に近い将来、憲法改正の住民投票が行われることになれば、こうした情報操作、デマの喧伝、フェイクニュースの類は、この比ではないと容易に想像されます。

この事実を踏まえ、憲法改正国民投票の公正性の担保、公党の情報発信のあり方について、なんらかの仕組みをセットしておかなければという問題意識を強くいたしました。

最後に。
9分という超短時間ながら、私の時間配分の悪さで少しオーバーしてしまいました。反省。。。河野太郎大臣には野党の下品なヤジの中で答弁させてしまい申し訳ありませんでした。積極的に手を上げていただいての簡潔かつ前向きな答弁、ありがとうございます。
官僚の働き方改革と国会改革の関係性については、次の機会に再チャレンジさせて頂きます。

 

 

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