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名を捨てて実を取る。孤高を恐れずに改革に邁進する。(幹事長ノート 2024.7.24)

2024/07/24

政治資金規正法改正案に関する我が党の立場について

政治改革の議論がメインとなった通常国会が6月に閉会しました。国会終盤には、政治資金規正法改正案について、日本維新の会は衆議院で賛成し、参議院で反対するという対応を行ったことについて、党内外からご批判を頂いた局面がありました。特に最終最後までこだわり続けた調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開を実現できなかったことは痛恨の極み、本当に悔しい結果であるとともに、力不足を痛感しています。

今国会を振り返るに当たり、特別党員、党員の皆さま、そして全国の国民の皆様に対して、一連の意思決定プロセス、ならびに我が党のスタンスを説明した上で、私自身の考えを記しておきたいと思います。

 

「政治とカネ」今国会での動きについて

自民党の裏金問題に端を発した政治改革の議論。我が党は「政治とカネ」の問題を根本的に解決するのみならず、国会改革、選挙制度という政治のあり方そのものに大きく関わる領域を改革の射程範囲として、網羅的に改革を進めるべく取り組んできました。昨年末に、党内に「政治改革実行本部」を立ち上げ、国会議員のみならず地方議員の仲間とも議論を重ね、1月29日には「維新版・政治改革大綱」を発表。2月26日には全議員を対象とする「政治資金に係る行動指針(内規)」を定め、提案したからには法律が制定される前でも自ら先駆けて実行するという姿勢で改革の実現に向けて取り組んでまいりました。

 

維新版政治改革大綱

 

これまで実践してきた、企業団体献金を受け取らない、旧文通費の自主的な使途公開に加え、政治資金パーティ券の企業団体への販売禁止、政治家が責任から逃れられないよう国会議員自らが会計責任者になること、親族による政治団体の相続禁止などを内規に定めました。

政治改革は政策論と政治姿勢の両輪が必要であり、その車の両輪が揃わなければ改革の熱量は最大化されないとの強い思いから、捨て身の姿勢で取り組んできたのです。

一方で、立憲民主党は政治資金パーティと企業団体献金の全面禁止という踏み込んだ改革案を提案したにもかかわらず、党幹部が立て続けにパーティを開催していることが発覚。党内外からの厳しい批判にさらされ、政治改革議論のメインプレーヤーから外れていったことは本当に残念なことでした。立憲民主党と共闘してでも野党が一致結束して自民党の至らなさを正していくべきとのアドバイスを多くの方からいただきました。しかし、自分たちが本当はやる気がないのに高い球を投げるだけでは政権与党は見向きもせず、交渉のテーブルにすらつかないことは明白です。「率先垂範、言ったからには先駆けて実行する」という本気度に我が党はこだわりました。

そして、派閥裏金問題で国民の信頼が地に落ちたはずの自民党。本来ならば、自らが最も厳しい改革案を他党に先駆けて提示すべきであったにもかかわらず、一向に改革案は出てこず、他党から遅れること数ヶ月、出てきた改革案は非常に守備範囲の狭いものであり、問題を矮小化した微修正案と断じざるを得ないものでした。

5月末、政治改革特別委員会の実質審議がスタートするタイミングで、我が党は「政治改革に関する10の要求項目」を改めて自民党に対して突きつけ、特にその中でも、①旧文通費改革、②政策活動費改革、③企業団体献金禁止&パーティ券の企業団体への販売禁止の3つを主戦場と定め、自民党に改革を迫っていきました。一度は交渉決裂となったものの、岸田総理が維新の改革案を取り入れることを指示し、再交渉がスタート。遠藤国対委員長をはじめ現場担当者を含めた粘り強い交渉の末、5月31日には自民党岸田総裁と日本維新の会馬場代表との間で、旧文通費改革と政策活動費改革を含む3項目の合意に至りました。

 

しかし、旧文通費の使途公開と残金返納を義務付けることなどを盛り込んだ文書について一度は合意したにも関わらず、約束が果たされなかったことはご存知の通りです。自民党は結局、今国会で旧文通費改革は「時間切れ」との理由で拒否しました。これについては自民党が「嘘をついた」のか、党内をまとめきれなかったのかわかりませんが、いずれにせよ公党の党首間で一度交わした約束を反故にしたのは事実でした。これを受け、私たちは参議院では反対に回り、内閣不信任案を提出いたしました。

この合意が実現していれば、政治資金の透明性をさらに高める重要な一歩になるはずでした。我が党は約10年前から旧文通費の使途公開と残金返納の義務付けを主張し、自主公開を党の取り組みとして実践してまいりましたが、一連の政治とカネの問題に対して実効性のある対策が求められている今だからこそ、国民の不信感を払拭し、政治に対する信頼を取り戻すための重要な施策となるとの信念のもと、今国会での実現に向けて取り組んできました。

この一連の流れで私たちが「ダマされたのではないか」とのご批判が党内外にあります。物事を前に進めるためには、最高の熱量を持った突破力と、厳しい交渉や説得を粘り強くできる調整力やマネジメント力の両輪が必要です。この両面において、今回は我々自身の力不足を反省し、ご批判を真摯に受け止めたいと思います。しかしながら、ここで諦める気はありません。国民の信頼を取り戻すべく、次国会での実現を目指して粘り強く取り組んでいく所存です。そして、究極のところ、政治の力は数です。私たちはまだ国会において第3党でしかありません。来るべき国政選挙で自民党や立憲民主党に勝つことによって、改革を必ず実現する決意を新たにしております。

 

名を捨てて実を取る。勝ち取った改革と先送りになった課題。

旧文通費の改革は、残念ながら先送りとなってしまいましたが、自民党とのブラックボックスを失くすための戦いの中で勝ち取った主な改革と今後の課題を整理しておきたいと思います。

今回の改正案において、我が党は政治資金パーティー券購入者の公開基準を従来の20万円から5万円に引き下げる法案を提出しました。パーティ券の購入者の多くが非公開であり、企業団体献金の抜け道として使われてきた実態が改善され、政治資金の透明性が向上し、国民の信頼を得る一歩となります。

また、これまでブラックボックスとなっていた「政策活動費」の領収書の公開についても、大きく前進することとなります。政策活動費とは領収書の提出が不要で、事前にも事後にも誰のチェックも受けることがない資金として、これまで数名の政党幹部や権力者が億単位の政治資金を好き勝手に差配し、金権政治の温床となってきたものです。二階前幹事長が5年で50億の計上があったことはすでに世に知られるところとなったように、自民党幹事長は毎年10億を超える資金を自由に差配してきたのです。派閥裏金問題において、複数の自民党議員が「政策活動費として受けとったものだから収支報告をする必要がないと思っていた」という趣旨の発言をしていることは、現金を配りまくる金権政治が長年にわたって蔓延していたことを示唆するものです。

このたび成立した法律では、政策活動費として支出された領収書は毎年提出が義務付けられ、第三者機関のチェックを受け、公開を10年後としています。これは、政策活動費の支出先には政策立案のための調査研究、分析、講師費用、海外取引なども含まれることから、外国勢力から政党情報の機密性を守ること、個人のプライバシーを保護することなどを目的に、一定の機密性を担保するための措置で、諸外国の公文書管理でも活用される手法です。

民間企業でも社内の領収書を全世界に公開することはありませんが、税金を預かる政党として、資金の透明性を限りなく高めるという使命と、責任ある国政政党として必要十分な情報セキュリティを両立させる考え方のもと、現実的な制度を策定しました。

10年という期間に賛否両論があることは承知しています。しかしながら、公開は10年後であっても、これまで完全なブラックボックスだった資金に対し、毎年の領収書提出が義務付けられ、第三者機関のチェックを受けることにより、違法な使い方を含む金権政治のもとを断つ仕組みが導入されることは、腐敗した政治を浄化する着実な一歩となるはずです。

また、我が党の考え方として、政策活動費の領収書公開に際して「黒塗り」は想定していません。政策活動費とは別件ですが、今回の改正において、個人献金者のプライバシーを保護する改善策が導入されます。少額寄付者であっても自宅の住所が番地や部屋番号まで公開されている現状では、週刊誌などが自宅の前まできてカメラを向けて追い回す、心ない嫌がらせを受けるなどの事象が多発しています。これらの重大なプライバシー侵害に対し、住所は市町村までの公開とする改善がなされることは非常に良いことです。個人のプライバシーが晒されることに対する危機意識は年々高まっており、会社法においても、会社登記の際に代表者が自宅住所の非公開を選択できる改正が先日なされました。このプライバシー保護のための改善策と政策活動費の領収書公開を意図的に混同して貶めようとする言説に対しては、引き続き丁寧に説明を繰り返して参ります。

令和8年の施行に向けて、詳細の制度設計については責任を持って進めることに加え、我が党ではこれまで領収書の保管とチェックを実施してきた党内運用からさらに一歩進め、透明性を高める自主的な取り組みとして政策活動費の支出を禁止し、成立した法律よりも更に厳しい姿勢を示すことで、改革に消極的な政府与党に実行を迫っていきます。

 

孤高を恐れずに改革に邁進する

我が党は、メディア受けのいい理想論で「名」を追いかけた末に何も実現しないよりも、旧態依然とした金権政治の自民党に足枷をはめて「実」を取る戦いを選択しました。その選択に対し、「わかりにくい」、「自民党と近づきすぎだ」、「改革姿勢が弱い」などの厳しい批判を受けたことも事実です。是々非々の姿勢は、ときに与党からも他の野党やマスコミからも批判されることもあります。しかし「55年体制」から続く馴れ合いの政治構造では、最小限の改革で済ませたい与党と、政権を取る気もなくて選挙向けの見せ場だけを追求する野党第一党という状態が固定化されています。多くのメディアも「与野党対決」と煽る割に政策の中身が一歩でも前進したのかを綿密に検証するよりも、牛歩戦術や採決時の乱闘など政局的な「絵」を伝えることに終始してきました。是々非々こそ日本に改革をもたらす第一歩である、一時は批判されようとも後世必ず評価されるとの信念を持って取り組みたいと思っています。もちろん、それは孤独なことです。しかし私たち維新は「孤高」を貫いてこそ存在意義があるのです。私個人は、往年の英首相チャーチルが言った「孤独な木は、仮に育つとすれば丈夫に育つ」を本分にしたいと考えています。

 

原点を忘れない

大阪維新の会の結党から14年、国政に維新の会が進出してから12年が経過しました。昨年の統一地方選挙を経て、約400名強だった地方議員は全国で800名を超えて倍増し、世代交代も徐々に進んでいます。私自身も政治塾一期生とはいえ、創業期のことはリアルタイムで知りませんので、先輩たちからの薫陶と伝承をもって日々学ぶようにしておりますが、大事なことは後世に伝えて党を持続可能なものとし、国政・地方政治に改革の旗印を掲げ続けることです。

歴代の自民党政権、かつての民主党政権も「改革」を掲げながら中途半端に終わって失敗しました。昭和の時代から連綿と続いてきた、政治家、役所、伝統的な産業界のトライアングルが既得権を握りしめていて、時代に応じて仕組みを変えようにも、とてつもない抵抗力を発揮して改革のメスを入れさせなかったからです。

最近は記憶が薄れつつありますが、コロナ禍の当時、官民ともに遅れていたデジタル化の問題が噴出し、有事に弱い医療体制などの「宿題」が次々と露呈しました。それらの問題はいずれも既得権に根ざしているのです。抜本改革を避けて対処療法に終始してきたこれまでの政治の限界があったからです。創業期の維新が議会の定数を削減したような「悪しき慣例慣習に囚われず、本気でやりきる」改革の精神を継承していくことが重要です。
我たちは、国民の皆様の声を真摯に受け止め、政治資金の透明性向上のみならず、より国民に信頼される政治の在り方を追い求め、皆様のご理解とご協力を賜りながら、共に未来の日本を築いていくことを目指します。

最後に、共に新しい時代の扉を開き、日本の明るい未来を切り拓いていくため、全国の国民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。引き続き、日本維新の会の活動にご尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

日本維新の会 幹事長 藤田文武

 

※このブログは、党公式「維新ジャーナル」からの転載です

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