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【なぜ、緊急時の政府の補償政策はボロボロなのか?】
2020/05/02
緊急事態宣言の延長が濃厚となっており、事業者も生活者も限界を迎えつつある。
そこで、雇用調整助成金の上限額の引き上げが検討されているというニュースが。
(引用)西村康稔経済再生担当相は3日の記者会見で、雇用を維持しながら従業員に休業手当(賃金の6割以上)を支払う企業に助成する雇用調整助成金の上限額(1日8330円)の引き上げについて「厚生労働省でできる限り改善する検討が進められている」と述べた。
https://mainichi.jp/articles/20200503/k00/00m/010/079000c
雇用調整助成金の上限引上げは、私自身も何度か委員会質疑でも取り上げ、厚労省にも掛け合いながらずっと注力してきた課題。
本件については、政府の判断が遅すぎて、怒りさえ覚えます。いつまで「検討」する気なのか。
しかも、要件緩和は何回にもわたって小出しにして、申請者も役所(ハローワーク)の担当も混乱させるという最低なやり方。
これでは、倒産・失業・収入激減を防ぐ気が無いのではとさえ思えてしまいます。
・申請の超簡素化(オンラインでペーパー2枚程度)&事後チェック方式
・上限額大幅引上げ(最低でも2倍以上。維新案でいうと20,000円くらいまで)
・スタートアップ企業にも適用拡大
これくらいのことは即日やる気で進めないと、経営現場も生活者もどんどん痛んでいく。
※スタートアップ企業への適応は要件緩和されたが、私が特に厚労省に主張してきたのは、職員配置基準がある指定事業などはスタートアップで売上が一度もなくても適用するくらい対象を広げるべきという視点。雇用調整助成金がでなければ、固定費減らず、売上たたずで、廃業か解雇を迫られるケースが増える。
そもそも雇用調整助成金は緊急時には使いにくい制度。しかし、政府が雇用維持政策の柱に据えている以上、我々野党の役割としては執行上の課題解決のために動かなければならない。
雇用調整助成金の上限8,330円の引上げは、維新は勿論のこと立国共の野党も、そして自民の一部も主張しているし、さっさとできない理由が全く理解できない。
今回の上限アップの検討は、どういう設計思想で、いくらアップするのか。まさか無いと思いたいが、ここまでズルズル引っ張った上で数百円アップとかだったら、本気で自公政権の統治能力を疑う。
財源は労働保険特別会計で足りなければ一般会計や国債でもやるべき。代表的な官僚答弁のやれない理由として、上限額は失業給付とのバランスと言ってきたが、それなら両方上げればいい。
そういう意思決定こそが、官僚にはできない政治家の役割であるはずだ。
政府の支援策の全体像を分析してみると、事業者支援策の柱はあくまで融資であるということは明らかである。
セーフティネット保証や無担保無利子制度で資金繰りをジャブジャブにして、税金や社会保険料の支払猶予(減免でなく猶予なので次年度に2年分払う)も実施しているんだから、それで潰れる企業は仕方ないというのが政府与党の一部に存在する設計思想。(この際、経営力の無い企業は淘汰されてしまえば良いとさえ思っているエスタブリッシュメント政治家は、ぶっちゃけ結構存在します。)
感染拡大防止のためにマーケットメカニズムを政治の力で強制停止している今、このような考え方はあまりに冷酷です。事業者支援策と雇用政策は、この緊急事態の最重要課題であると私は考えます。
ちなみに、シンガポールで会社経営する友人から詳細を教えてもらったジョブサポートスキームがすごいので、紹介させてもらいます。
(詳しくは下記リンクからどうぞ!)
シンガポールのジョブサポートスキームについて by Yuki Ohata → urx3.nu/QorI
簡単に言うと、国民と永住者の雇用維持のための一時的な緊急支援制度で、支払った給与の25〜75%(業種で割合が決まる)が、雇用主に振り込まれます。
すごいのは、「何の申請も無しで、自動計算」ということ。
日本でいうマイナンバーみたいなIDがちゃんと機能していて、所得や資産の捕捉、雇用状況や口座情報も平時から一元管理できているからこそ可能となるスキーム。この仕組みは、緊急時に強い社会インフラであるのは明らかです。
日本維新の会は、緊急提言第4弾でマイナンバーのフル活用を主張しています。
しかしながら、このように緊急時の補償にも強く、なにより透明で公正な仕組みは、与党のエスタブリッシュメント層も◯◯党も◯◯党の支持母体も、実は絶対に嫌なんですよね。
正確に所得と資産を把握して、適切かつ公平に再分配することこそ、アフターコロナの最重要課題と私は位置付けています。
このシンガポールの仕組みと比べてしまうと、日本の緊急時の補償政策はあまりにボロボロである。最大の理由は、平時からその準備をしてこなかったということに尽きる。
このように日本が先送りにしてきた本質的課題が露わになっている今、足元の感染拡大防止と補償政策に全精力を注ぎつつも、アフターコロナの社会像を提示して経済社会改革を進め、日本の新しい時代を切り拓いていくための社会システム改革に全力を尽くしていきたいと思います。