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皇位継承の議論をするなら「旧宮家、旧皇族」に関する正確な理解を。

2020/05/09

一部ネット上で、維新は「女系容認」や「女性宮家推進派」だという誤解が散見されるので、日本維新の会に所属する一衆議院議員の立場として明確に否定しておきます。

私個人は、安定的な皇位継承のために旧宮家の皇籍復帰の選択肢は閉じるべきではないという考えです。そして、適切な議論のために旧宮家の歴史的背景、皇室との親戚関係、継続的交流関係など、国民の皆さんに正しく理解して頂くことが重要だと思います。
国民の皆様の中にも、そして党内にも様々な意見の方がいらっしゃると思います。実際に、党として皇位継承における正式見解を表明したことはなく、論点整理や議論を深めている段階でありますが、その前提として、「事実の正しい理解無くして適切な議論はできない」ということは忘れてはいけないと思います。

 

 

2020年2月19日、衆議院予算委員会に登壇させていただき、皇位継承に関連して、特に「旧宮家」について質疑をさせていただきました。内容についても各所から様々な反響いただきましたので、私の意見も含めてまとめて記しておきたいと思います。

 

まず、先日年2月10日の予算委員会にて、菅官房長官から立皇嗣の礼ののちに、皇位継承の議論を進めていくというご発言がありました。(新型コロナの影響で「立皇嗣の礼」が延期されたことから、今後のスケジュールはどうなるかわかりません。)
これまで、安倍総理や菅官房長官からは、「安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本に関わる極めて重要な問題であり、我が国は古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえながら慎重かつ丁寧に議論を行うことが必要である」という趣旨の答弁が繰り返しなされてきたわけです。
また、「旧宮家の現状を把握しているか、旧宮家に対する皇籍復帰の可能性について働きかけをしているか」とった趣旨の質問については、「現状は把握していない」や、「これまで働きかけはしていない」と言ったことを述べてこられました。

そこで考えるに、多くの国民はそもそも「旧宮家」とは何か、また、なぜそれほど「旧宮家」が注目されるのか、きちんと理解できない人が多いのではないか。
この点、私は非常に重要な論点であると思います。

そこで、旧宮家とは何かという問いに対し、様々な角度から質疑し、事実関係について宮内庁から答弁をいただきました内容を、要約してみました。

<Q1>
そもそも、旧宮家とは何か。どのような方がおられるのか。

<A1>
・宮家は法定の制度ではなく、独立して一家をなす皇族に対する一般的な呼称。
・旧皇族とは、昭和22年10月14日に皇室典範の規定に基づいて皇籍を離脱された方々で、具体的には、山階宮、賀陽宮、久邇宮、梨本宮、浅香宮、東久邇宮、竹田宮、北白川宮、伏見宮、閑院宮、東伏見宮の11宮家。

 
<Q2>
旧宮家の方々は伏見宮家の家系に属し、男系を維持してきた方々であり、現行の憲法が施行された後も、昭和22年10月14日まで皇族の地位と皇位継承権を持っておられた方々です。そこでどのような事情で、どのような背景のもとに、その方々は皇籍を離脱されたのか。

<A2>
・昭和22年10月13日の皇室会議において、「戦争が終結しました直後より、皇族のうちから、終戦後の国内国外の情勢に鑑み皇籍を離脱し、一国民として国会の再建に努めたい」という御意志を表明される向きがあり、宮内省においても事情やむを得ないところとして御意志の実現を図ることとなった。
※藤田追記※ 形式上は自ら願い出て、皇族の身分を離脱されたことになっているが、占領下における当時の時代的背景や、GHQの様々な圧力(莫大な財産税を課せられたり、収入が途絶したりして、経済的に逼迫したなど)によって皇籍を離脱せざるを得なくなったことも大きな原因となった。

 

<Q3>
旧宮家と現在の皇室とは、多くの親戚関係がある。具体的には?

<A3>
上皇陛下と旧久邇宮家の久邇邦昭(くに くにあき)氏は従兄弟関係にあり、天皇陛下と旧東久邇宮家の当主であった、故信彦氏も従兄弟関係にある。また、東久邇宮家には、明治天皇と昭和天皇の内親王がお嫁に行かれています。さらに、旧竹田宮家にも明治天皇の内親王がお嫁に行かれている。
・竹田宮家 → 明治天皇の内親王が降嫁
・朝香宮家 → 明治天皇の内親王が降嫁
・東久邇宮家 → 明治天皇と昭和天皇の内親王が降嫁
・北白川宮家 → 明治天皇の内親王が降嫁
・久邇宮家 → 昭和天皇の皇后さまは、久邇宮家のご出身

☆参考資料→ 旧宮家 系図(平成24年現在)

 

<Q4>
皇族の方々は旧宮家の方々と「菊栄親睦会(きくえいしんぼくかい)」等をはじめ様々な場で交流を続けていらっしゃる。そもそもこの「菊栄親睦会」とはどのような会か。また、宮内庁は「菊栄親睦会」お世話をしているのは事実か。

<A4>
・菊栄親睦会とは、青年の皇族方、昭和22年に皇族の身分を離れた方のうち当主の系統にある方及びその配偶者、それ以降に皇族の身分を離れた方及びその配偶者を会員とする任意団体としての親睦会。
・平成3年の皇居・吹上御苑内で行われた「菊栄親睦会」は週刊誌に写真が公開されていて、天皇皇后両陛下をはじめ、現皇族の方々、旧皇族の方々など、104名の方がご出席された。
・宮内庁は皇族方の公私にわたるお世話をしていることから、菊栄親睦会のお手伝いをしている。

 

予算委員会の動画フルバージョンは下記からご覧ください。

【安定的な皇位継承と旧宮家とは?】2020年2月19日(水)衆議院予算委員会


このように旧宮家の方々は、歴史的背景においても、親戚関係においても、現在の交流関係においても、皇室と非常に近しい立場であるというのは事実です。
2月10日の予算委員会で山尾志桜里議員が「以前皇族だったお家にたまたま生まれた方が突然現われたら受け入れられない」や、「無理筋である」といった趣旨の個人的見解を述べられましたが、私はそのようには思いません。
山尾議員は、あたかも「どこの誰だかわからない人がいきなり登場して皇位継承するのはあり得ない!」というようなミスリードを意図的にやっているわけですが、旧宮家の「歴史的背景」、「皇室との親戚関係」、「現在に至る継続的な交流関係」という客観的事実を知れば、もう少し落ち着いて冷静に考えることができるのではないでしょうか。

皇位継承の議論は、女性宮家や女性天皇を認めていくかどうかということばかりが注目されますが、ここに例示させていただいた客観的事実を踏まえると、旧宮家の方々から「なんらかのお力をお借りする」という選択肢を閉じてしまうことなく、皇位継承は旧宮家の皇籍復帰を含めて様々な選択肢の中から検討するというのが明らかに合理的であります。

ちなみに周知の事実ですが、「旧宮家の皇籍復帰論と同じく、何代か前に遡って男系男子が皇位継承した先例」は過去にありますが、一方で「女性宮家を認める」ということは前例がありません。加えて、女性宮家の創設は、配偶者となる男性を民間から皇室に迎え入れるということも想定されるわけです。

「①男系男子の皇位継承、②女性天皇、③女系天皇」という選択肢があった場合、政治家の中にも、「女系天皇まではやりすぎたけど、女性天皇までは間をとって認めていいんではないか」というような、背景にある論点を理解せずに思考停止したままの主張をする人もいますから、言葉を失います。

もちろん国民の皆さんに対し、このような客観的事実も含めて正確な情報をお伝えすることを前提として、国民的理解を広く醸成しつつ、皇位継承の議論は、長い歴史の中で積み重ねられた伝統やこれまでの前例などを中心に、静かな場で検討すべきだというのが、私のスタンスです。

 

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