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【新型コロナにおける経済対策の考え方】
2020/04/03
世界中で感染拡大が止まらない状態です。日本国内でも爆発的感染の危機が迫る中、東京と大阪でも学校の休校延長が発表されました。
政府や都道府県知事から強い外出自粛要請が出され、経済活動は瀕死の状態になっています。
感染拡大防止と経済活動という裏表の関係を考えた時、我々は非常に難しい局面を戦わなければなりません。
ここで頭に入れておくべきことは、新型コロナの影響は、
・長期化するということ
・世界同時であること
・金融だけでなく実体経済がボロボロになること
・特定の地域や業界に限らないダメージがあること
・行動制限によって消費喚起策が打ちにくいこと
といったことであり、これはリーマンショックの時にも東日本大震災の時にもなかったことです。
イベント自粛、学校休校、外出自粛要請などで経済活動や人の移動を抑制し、感染拡大のスピードを落としていくことで医療崩壊を防ぎ、重症者に医療資源を振り分ける。日本はこのピークアウト戦略を取っているわけですが、仮にそこで一旦感染拡大を抑え込めても、経済活動を再開するとまた感染拡大の危険性が上がってしまう。加えて、海外の感染状況が終息していないと、入国制限や渡航制限の措置を解くことができない。
よって、完全な終息はワクチンや治療薬の開発を待たなければならない。ワクチンや治療薬がいつ出来上がるのかは不透明ですが、専門家によると完成は早くても夏頃、国民に広く行き渡るための量産体制確立とまでなると秋から冬。だから我々は、少なくとも半年、長ければ1年ほどは綱渡りをし続けながら長期戦を戦うことになります。
この時間軸を前提にした場合、政策設計において「生活支援や損失補償」と「経済対策」は分けて考えなければなりません。
今はまだ経済活動を停止させてでも感染拡大防止を優先しなければならない自粛期間であり、言うなれば「みんなで耐え抜く」時期。このステージの最重要施策は「生活支援や損失補償」です。
そして新型コロナが終息を迎えて、V字回復を目指すステージを迎えた時の最重要施策が「経済対策」であって、ここは明確にステージを分けて政策設計を考えるべきです。
直近の感染拡大が続く自粛期間でやるべきことは、
★収入が途絶した方への生活支援(救済)
★企業の資金繰り支援や損失補償(=雇用を守ることにつながる)
★社会防衛のために自粛や休業、情報公開に協力した方への補償
であり、ここを守らなければ企業の倒産が相次ぎ、失業者が続出し、社会の安定性が失われ、コロナが終息した後も経済が復活できなくなります。そしてこの対応には「スピード」が求められます。
例えば、消費税減税については感染拡大期では消費を喚起しようにも活発な経済活動ができず、どうしても通常時より効果が薄くなってしまいます。よって、私は消費税減税はやるとしても終息が見えたタイミングで実施すべきメニューだと思います。
では現金給付案はどうか。
現金給付は言うのは簡単だが、実は配り方が難しく、仮に全員に一律の金額で配るとしても1〜2ヶ月の時間と相当な事務コストを要すると言われています。ここに政府の言う手上げ方式で所得制限などを加えて20万や30万を配るとなると、さらに審査などに時間がかかってしまう上に、自治体の事務負担も凄まじいものになることが予想されます。そしてお金が手元に届くのが5〜6月。当座のお金に困っている人への生活支援に効果的かと言えば、スピードの観点から著しく合理性に欠ける政策です。
私は現金一律給付に賛成の立場ですが、これはあくまでも直近の生活支援というよりも、コロナ終息後のV字回復期にマクロ経済政策として実施すべきだと考えています。
補足ですが、大型の現金給付は通貨発行量が一気に増えるので通常なら為替に影響しますが、諸外国が全世界的に現金給付を実施しているので、理論的には為替に対してニュートラルになります。
政府は所得制限付きの現金給付を「生活支援」と「経済対策」のどちらの意図でやるのか整理されていないのではないかと思いますし、これを明確に理解している議員は非常に少数です。この2つの異なる目的が混同されてしまうと政策設計が迷走してしまいます。
ではスピード感を持って生活支援の救済策を実施するにはどうしたらよいか。
ここで維新の足立康史議員が提案している「生活者向け政府補償付き貸付」という新しいアイデアは、生活支援を目的とした政策として「実施スピード、総予算、事務コスト、公平性」などのすべての観点から、現金給付や助成金制度よりも優れています。
正式名称は「事後マイナンバー紐付審査 給付切替 生活資金貸付制度(仮称)」という超長い名前です。笑
動画での解説はこちらからご覧ください。
詳しくは足立議員や音喜多議員が解説しています。
政府は生活困窮者の手挙げ方式による現金給付を検討中ですが、困ってることを迅速に審査できるとは思えません。そこで考えたのがマイナンバーを活用した事後審査による給付への切り替え制度です。社協の代りに消費者金融を活用し毎月10万円の政府保証融資を提供、3年の据置期間中に審査するのです。 pic.twitter.com/hrh2zbKT0C
— 足立康史 (@adachiyasushi) April 2, 2020
簡単に言うとこんなアイデアです。
・近所のすべての金融機関に行ったら、10万円くらいまで無審査ですぐに融資が受けられる
・ちなみに無利子無担保で保証人も不要
・政府が保証するので金融機関はリスク無し
・3年程度は返済を猶予して、低所得者や所得激減した人はマイナンバーに口座を紐付けした上で審査して返済不要とする
・高所得の人や、ちゃんと復活した余力のある人には返済してもらう
この仕組みだとすぐに実施でき、融資不要な高所得者はどうせ返済しないといけないので借入しないから市場原理で窓口に来る人を間引きできて混雑緩和にもなり、所得制限などの事前審査も不要なので事務コストも低い。そして必要な人にスピード対応できる。その上、マイナンバーの活用が進む。
つまり簡単に言うと、入口は貸付だけど低所得層には給付したことするという仕組みです。
更に、これと同じ仕組みを中小企業にもアレンジして転用すれば、かなり無駄なく必要なところにお金という血液が流れるようにできると個人的には考えています。
※詳しくは音喜多議員のブログがわかりやすいのでお読みください↓
最速で「現金」を生活支援として届けよ!マイナンバーを活用し、実質給付になりえるスキームを本気で考える
https://otokitashun.com/blog/daily/22979/
こうして感染拡大が続いている間は、とにかく耐える。
その際にやるべき政策は、今回紹介した「給付切替貸付」のような現金が手元に素早く届く政策と、社会保険料の免除や税金の支払猶予のような支出を抑える政策です。
政府は社会保険料や税金の1年間支払猶予を検討している発表されました。非常に良い政策ですが、更に猶予から免除にまで踏み込んで欲しいと思っています。
いずれにしても、政府与党の緊急対策は迷走気味です。
我々日本維新の会は提案型政党として質の高い対案やアイデアを出し続けて、国民により良いコロナ対策が実現するように訴え続けたいと思います。